2017年04月19日

なぜ、現場主義が重要なのか?

私が新卒で大手電機メーカーの
半導体部門に就職しました。

しかし、残念ながら業績は右肩下がりで、
分社化、他社との統合を経て、経営危機と
さんざんな結果になっています。

その過程で、経営コンサルが入っていた
時期がありました。
その時は、コンサルタントに
相当辛口の評価を受けていたそうです。

理由は、例えばトヨタなど
成果を出し続けている会社に比べて、
圧倒的に部長以上の能力が低いと
言われていたそうです。

でも、元々の素質に差があるとは思えません。
私が入社したメーカーはバブル時代は
本当に素晴らしい会社で、
有名大学でトップの成績をとるような、
超優秀な人間ばかりが集まっていたのです。

となると、問題は人の素質ではなく、
会社のシステムにあることになります。
一体なにが問題なのでしょうか?

トヨタOBの方の講演を聞く機会があって、
質疑応答の際にその質問をしてみました。

すると、答えは興味深いものでした。
それは現場の教育能力にあるというのです。


トヨタといえば、
工場のカイゼン活動で有名です。

でも、よく考えてみれば、
今は効率よく作ることよりも、
売れるものを設計することが重要な時代です。

中国を初めとするアジア諸国の技術力は
確実に上がっていて、ものづくり力だけでは
日本の優位性を出すことはできません。

むしろ製造はアウトソースして、
設計に注力するのが今のトレンドです。

それでもトヨタが製造現場を重視している理由、
それは現場の教育能力にあるということです。

現場に出ると、問題が次々に出てきます。
それらをどんどん解決して、
良い製品を早く出さなくてはなりません。
逆に、そのことに集中できるのです。

考えてみれば、大企業というものは、
会議や調整など、ある政治的な活動に時間を取られ、
本当に顧客の価値をもたらす本質的な活動に
フォーカスできていないことが多いです。

そして、特に中間管理職以上の人間が、
顧客価値に結びつかない活動ばかりして、
能力がさびついていくのです。

しかし、トヨタでは、現場を通じて人を育て、
出世しても、成果にフォーカスするマインドを持ち、
そして、実際に成果を出し続けるのです。

これがトヨタのような会社と、
官僚化して落ちぶれる会社の
一番大きな差なのだと思います。


そういえば、成功している経営者の言葉に、
「現場重視」ということが多いですね。

これは、単に前に出ろ、と言うことでなく、
本当の成果にフォーカスするマインドを
忘れないという意味も強いのでしょう。

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2016年07月09日

自分で決められることに集中する


出世すれば、自分の思い通りに仕事ができる。

こう考える方も多いかもしれませんが、
僕はこれは幻想だと思っています。

確かに出世すると、会社に対する影響力は
大きくなるでしょう。

しかし、その分関係者も多く、強大になり、
本当に自分の裁量で決められることは
それほど多くはないのです。

つまり、一般社員は課長の言うことを
聞いて仕事をします。
そして、課長は部長、部長は事業部長の指示で、
ということを繰り返すわけです。

そして、社長になったとしても、例えば株主
労働組合、有力なOB、官公庁など、
相手は異なりますが、他の誰かの影響を受けながら
仕事をしているのです。


逆に、平社員であっても、自分の裁量が及ぶ領域が
必ず存在するはずです。
自分の製品の仕様、それさえも上司が決めるのだとしても
実際の仕事の進め方や方法など、自分が決められる領域が
必ず存在するはずです。

仕事で成功するには、その領域に自分の力を
集中させていくことが大事なのだと思います。


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2016年04月15日

制約は障害ではない

そうか、君は課長になったのか。という本で有名な
佐々木常夫さんという著者がいらっしゃいます。

この方は東レ同期トップで取締役となり、
東レ経営研究所の社長となったという
輝かしい経歴をもっています。

ただ、佐々木さんが凄いのは
病弱な奥様を持ち、自閉症の長男を含め
3人の子育てをしながら、仕事で高い成果を
出していた、ということです。

ですから、長時間の残業や休日出勤はできません。
この制約の中で、周りの誰より
仕事の成果を出していたのです。


ただ、この話を聞いて思うことは、
それでは佐々木さんは家庭の事情がなければ
もっと高い成果を上げることができたのか、
ということです。

過去に「もし」ということはありませんが、
もし、佐々木さんが一般的な家庭状況だとしても、
今より高い成果は出せなかった、
それどころか、普通のレベルの成果しか
出せなかったのではないかとさえ思うのです。

つまり、家庭の状況が、佐々木さんを追い込み、
極限まで仕事の生産性を高めることができ、
その結果、高い成果を実現することができた
というのが本当のところではないかと思うのです。

あの上司さえいなかったら…
妻の物分りが良ければ…
こんな部署に配属されていなければ…
と、マイナスに見える制約はたくさんあるでしょう。

しかし、その制約は障害ではなく、
むしろ成果を上げるための資源かもしれません。

困難に陥ったとき、そんな考え方ができれば、
ピンチをチャンスに変えることができるでしょう。
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2016年03月04日

それは本当に必要なのか?


昨今、日本の電機業界が不振で、
「日本の電気が生き残るために」
といった議論がよく聞かれます。

ただ、私はしばしば根本的なことを
考えることがあります。

つまり、本当に
「日本の電気が生き残る必要があるのか」
ということです。

これから日本の生産人口はどんどん減っていきます。
ということは、日本が注力する産業も
どんどん絞られていくべきです。

その中で、日本が電気産業を
持ち続ける必要があるのでしょうか?
他の国に任せてはダメなのでしょうか?

これはかなり極論ですが、
可能性としては考えるべきだと思います。

キーワードは、全体最適と個別最適です。


例えば、会社の中である部署の利益と
会社全体の利益が一致していない、
つまり、ある部署が個別最適に走って、
会社全体の利益に反するということは
よくあることだろうと思います。

つまり、会社全体から見れば、
その部署はない方が良いのです。

特にボトムアップで物事を決める
日本の会社に多いような気がします。


この話のスケールを上げると、
一見よいように見えるものの、
国や人類に悪影響を与えている会社
というものも実は多いことでしょう。

反社会的な組織など明らかに
社会に悪影響を与えているもの以外にも、
無い方が良いものはたくさんあるのかもしれません。

となると、会社が生き残るために、
また、○○産業が生き残るために、
といった議論が懐疑的に聞こえます。

つまり、本当にその会社や産業が
生き残った方が良いのか?
さっさと無くなってしまった方が
世のため、人のためではないのか?

この判断は非常に難しいのですが、
常にこの可能性は考えて
行動していきたいものです。

posted by エンジニアライター at 22:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月19日

会社の凋落とともに個人の価値が下がるのか?

10年後、生き残る理系の条件

東芝でのフラッシュメモリーの開発メンバーの一人で
現在は中央大学で教授として研究室を運営されている
竹内健さんの本を読みました。

エンジニアのキャリア論として、とても参考になる本で
T字型のエンジニアを目指すことや
エンジニアも経営の視点を持つなど
厳しい現代を生き抜く視点があります。


ただ、1点引っかかる一文がありました。
会社の凋落とともに個人の価値が下がる前に、
飛び出す勇気を持つ


ここで会社の凋落と個人の価値低下が
結びついていることに違和感があります。

つまり、私としては、凋落する会社においても
個人の価値が上がるということは
十分にありえるものだと思うのです。

それどころか、凋落する会社の中では
順風な会社にはない、様々なチャンスに
満ち溢れている、とさえ思うのです。

後書きにあるように、著者はフラッシュの開発や
大学での研究の立ち上げなど、ゲリラ的に
新しいことを立ち上げる仕事をしていたので、
落ちていく組織の経験があまりないのですね。

それだけに、本当に落ちていく組織
(大きな声で言えませんが、私の勤める会社のような組織)
の中で、本当のところどんなことが起こっているのか
ご存知ないということでしょう。

凋落する会社にもキャリアアップの
チャンスはあるのです。


少し批判的になってしまいましたが、
通読してみてとても良い本でした。

特に、人がにわかに集まる分野は危険だ、ということや
巻末の城さんとの対談で出て来る、
日本の大企業では、人材の育成や動機付けが
「真空地帯」である
という箇所は興味深かったです。

キャリアを考えるエンジニアにとっては
絶対に一読の価値がある一冊と思います。

posted by エンジニアライター at 23:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする