2011年05月14日

原発がなぜあそこに建っていたのか


浜岡原発の停止の話を受けて、
そもそも原発がなぜあそこに建てられたか
という疑問が投げかけられることがあります。

原発の立地に関しては、
地震の可能性など様々な検討が
行われるはずです。

なのになぜ今になって、
危険すぎるから停止する
という事になってしまうのでしょう?


一見難しそうな問題ですが、
原発をとりまく様子を見ていれば
原発立地の選定で一番重要なのは
何かということは明らかではないでしょうか?

一番重要なのは建てられること、
つまり地元の同意が得られることです。

原発の立地については、
日本中の土地の中で、
リスクが低いところを探すことが
望ましいのですが、
実際は地元の同意が得られそうな
極めて少ない選択肢の中から
選んでいることが現状でしょう。


福島の原発事故についても、
そもそも同一の場所に6機も
炉が存在することが事故の拡大を招いた
という意見があります。

これも同じことです。
リスク分散のためには分散した方が
確かに望ましいことではあります。

ただし、他に建てるとなると、
また地元を説得することが必要です。

それができなかったために、
同じ場所にたくさんの炉を
建てざるを得なかったのです。


科学技術といっても、
決して全てが科学的、論理的に
決められるわけではないのです。

逆にそんな部分には、
専門家でない人にとっても
科学技術政策に入り込む余地は
ちゃんと残されているとも
言えるのです。
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2011年04月22日

御用学者の悲しさ


普通の科学者や技術者は
100%とか「絶対」という言葉は使いません。

なぜなら、そんなものは存在しないことは
研究開発を行っている本人達が
一番わかっているはずだからです。

逆に、もし100%とか「絶対」と言う
専門家がいたとしたら、その人は何かが変です。
その人の言うことは信じてはいけません。


「普通の科学者や技術者は」
と前置きしたのですが、
専門家としては人格や知識が問題なくても
例外的に絶対という言葉を
使わざるを得ない人がいました。

それが、原子力のいわゆる御用学者
という人たちです。

それがどの程度の確率と考えるかは、
人によって異なるでしょうが、
彼らは、本当は絶対安全などではないと
自分自身が一番良くわかっていたと思います。

それでも、立場上「絶対」と言わねばならない
最初はストレスだったと思います。

しかし、繰り返していくうちに、
いつしか自己暗示のような状態に
陥っていたのでしょう。


彼らを批判するのは簡単ですが、
彼らをそこまで追い込んだのは
一体何だったのか?

その問題に正しい答えを出せないことには
科学によるこの種の悲劇は
繰り返されることでしょう。
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2011年04月16日

原子力がクリーンになるための条件


「原子力がクリーンである」
二酸化炭素を直接には放出しないという意味で
昔こんなことを言っていた人もいましたが、
現在そんなことは誰にも言えないでしょう。

原子力のもつ本質的な「汚さ」が、
完全に普通の人にも知れ渡ってしまいましたから。


とはいえ、汚染という問題は放射能に限らず
薬物、重金属、有害ガスなど色々存在するわけです。

その中でも、特に放射能が別格に扱われる
理由は何なのでしょうか?


やはり、それは「消えない」ということにあるのでしょう。
人間の寿命と比較して、下手をすると文明と比較しても
完全に「無限」になってしまう放射能汚染の時間スケールは
恐怖以外の何者でもありません。

しかし、逆に言えば、この「時間」の問題さえ解決すれば
原子力は人に優しいエネルギーになりえるのです。


今、福島で立ち向かっている
一番大きな問題は「冷却」です。

原子炉や冷却プールの中は、
非常に大きなエネルギーを出す
「臨界」の状態ではありません。

現在は原子力利用からすればオマケのような
「崩壊熱」と戦っているのです。

それにしてもオマケといえど非常に大きな熱です。

あれだけ、水をかけ続けて冷却しても、
少し油断すると危機的な状況に戻ってしまいます。


僕のような素人からみると、
この熱も発電に使うことはできないのか
と思ってしまいます。

なんらかの方法で、核の崩壊を促進することができれば
その崩壊熱も発電に利用することができるかもしれないし、
なにより、放射能の有害性を減らすことができます。

もし、そんな技術が開発されれば、
原子力はクリーンなエネルギーとなれるのかもしれません。


まあ、こんなことは僕でも考えるようなことですから、
だれでも考えていることなのでしょう。

あれほど問題にされながら、高速増殖炉を続けているのも
そんな思惑があってのことなのかもしれませんね。

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2011年03月22日

なぜ、科学技術を勉強するのか?


なぜ、科学技術を勉強するのか?

特に、子どもでなく大人向けの科学技術教育を
考えていた僕にとっては、
この問題は非常に難しい問題でした。

子どもや学生であれば、
将来の選択の幅を広げるため、
で良いかもしれません。

しかし、既に社会で活躍している大人にとって
しかも科学技術の知識を必要としない職の人が
科学技術を学ぶ目的とは一体何なのでしょうか?


もしかして、その解はない
つまり、結局専門外の人間は科学技術を
学ぶ必要はないのだろうか、
とさえ考えたこともあります。

しかし、今回の大震災を通して、
その必要性が明確になったと思います。


科学技術を学ぶ理由とは、
社会の基盤をなす技術を
選択するためなのです。

例えば、今回の原発の問題を通して
これから日本として電力供給をどうしていくか、
この問題は一部の技術者や研究者だけでなく
一般市民が参加して決定されるべきものなのです。

そうなると、専門外の人にとっても
ある程度技術を身につける責任が生じる
といえるわけです。


ただし、そんな目的に特化したコンテンツは
現在はほとんど存在していません。

それを提供することが、
自分の使命なのではないか、
今、そんなことを考えています。

posted by エンジニアライター at 00:38| Comment(0) | TrackBack(0) | テクノロジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月15日

原子力は今後どうあるべきか?


ご存知と思いますが、大地震の津波の影響で
福島の原発が大変なことになっています。

現場では、決死の覚悟で作業をされている
作業員の方々がおられます。
その方々には頭が下がるばかりです。


私の知見の範囲内で、ネットやテレビなどで
得られる情報を分析したところ、
非常に深刻な事故ではあるのですが、
チェルノブイリの事故のように、
一般の人に重大な健康被害が生じるほどの
事態にはならないだろうと推測しています。


しかし、たとえ人や環境への被害が
少ない形で事態が収拾できたとしても、
この事故の傷跡は日本に深く刻まれるでしょう。

・電力の欠乏
・周辺の農作物や魚貝類の風評被害
(場合によっては外国による日本の風評被害)
・原発を輸出しようとしていた企業の損失
・日本の危機管理体制、信頼自体の喪失
・世界的な原子力利用への反対の加速

日本人にとって、特に経済的に、
困難な状況に陥ることは必至のようです。


僕は、原子力は過渡的な技術であり、
例えば200年先も使い続けられる
技術ではないと考えています。

理由として、原料のウランの有限性、
放射性廃棄物の問題なども考えられますが、
一番大きい理由は、絶対に間違いが許されない、
ということです。

今回の福島の事故は、
想定し得ないほどの津波が発生したことに
直接の原因があります。

普通の技術であれば、想定外のことが起これば
それを取り入れて設計すればいい、
つまりやりなおせばいいのです。

しかし、原子力は事故が発生したときの
ダメージがあまりにも大きいため、
間違いは全く許されないのです。

本来このような技術は、
人間が扱うべきではないと思います。

それでも、時代の要求によって、
使わざるを得なかった。
いわば、緊急回避的な技術であるのです。

歴史的にみれば、一時的に使われて、
後世からは存在を忘れ去られることが
望ましいというわけです。


それを踏まえて、これからの原子力利用は
どのようにあるべきなのでしょうか。

これからは、国内で新規の原子炉を
建設することは現実的に不可能でしょう。

なぜなら、今まで反対する人を
説得するのに使ってきた
「絶対安全」の神話が崩壊してしまったからです。

何を言っても、事故は現実に発生したのです。


こうなってしまった以上は、
日本はポスト原発の技術に焦点を当てるべきです。

元々、永く生きながらえる技術ではないのです。
この不幸な事故は、その転機となることにより
歴史的な意味を持つのではないでしょうか?

posted by エンジニアライター at 22:28| Comment(0) | TrackBack(0) | テクノロジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする