2018年08月18日

虚数にも意味はある


「i2=-1」 と教えられる虚数は、
その「虚(ウソ)」という名前もあって、
存在しない数とか妙なイメージを
持っている人が多いようです。

しかし、数字は一種の言語ですから、
数字そのものよりも、数字に何をのせるか
ということが重要なのです。

例えば、5という数字そのままでは
抽象的な概念しかありません。

例えば5人の人なのか、5mの長さか、
5℃という温度か、5gという重さなのか、
表すものによって、意味が変わってくるのです。

意味が変わるという表現は
十分でないかもしれません。

まさに次元が変わるということです。

5℃と5人を加えると何になりますか?
この問題は全く意味を持ちません。

この二つは全く違うもの、
次元が違うものなので、加えようがないのです。

虚数は次元が違うものを一緒にする手段です。
だから「1+i」は一つの数字ではありません。
5人と5℃というように、
次元が違う2つの数字を表現したものなのです。


だから、虚数にも意味を与えてやれば、
意味を持つようになります。

私の専門である半導体回路では、
アンプ(増幅器)というものがあります。

この利得と呼ばれる特性は複素数で表現して、
複素数平面で見たときに、
ベクトルの大きさを増幅率に、
角度を位相に対応させます。


二次方程式の解で複素数が出てくると、
それは解けないことを意味するだけです。
しかし、最初に適切な意味を与えると、
虚数も意味を持つことができるのです。

posted by エンジニアライター at 16:03| Comment(0) | 科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月21日

正確に伝えることにこだわってはならない


科学の説明の文章を書くときには
正確性にこだわるのが普通です。

この法則が成り立つのはどんな条件が必要なのか、
どんな例外があるのか、
など注釈が多くなってしまいます。


しかし、それは読み手の理解を
大きく妨げているような気がします。

典型的な例が数学で、
学問の正確上しょうがないのですが、
例外の解析に議論のほとんどを使います。

数学を実際の仕事で使う場合、
ほとんどは例外にはなりません。

例えば、二次方程式は2つの実数解を持つ場合、
重解を持つ場合、実数解を持たない場合
があります。

適当に方程式を作った場合、
99.99%は2つの実数解を持つ場合か
実数解をもたない場合になります。

重解は正確にD=0となる場合ですから、
ほとんどあり得ないということになります。

となると、注目すべきは何なのか、
自然にわかるはずです。

初学者が細かいところばかりに
注目した本で学ぶと、
本当に大切なことがわからなくなります。

もちろん、専門性が高まると、
例外を学ぶことが重要になるでしょう。

しかし、初学者にとっては、
まず、大まかな流れを知ることが重要です。

特に、専門的な知識を必要としない人は
細かい知識がむしろ邪魔になることが
あるとさえ思っています。


正確ではない理解が、
時には正確な理解より役立つことがある、
私はそのように考えています。


posted by エンジニアライター at 13:11| Comment(0) | 科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月03日

コンピュータを味方にできる者が勝利できる


シンギュラリティという言葉をご存知でしょうか。

これはAIが人間の脳を超えてしまい、
人間の手を介さず機械が機械を生み出し、
コンピューターが人間を支配する立場になる
というものです。

でも、考えてみれば今でも数値計算の速度などは、
人間はコンピューターの足元にも及びません。
ある意味、もう負けているとも言えるのです。

また、将棋ではコンピューターが
現役の名人に勝利しました。
これは、人間の敗北を意味します。

でも、将棋は衰退しているでしょうか?
衰退どころか、藤井聡太六段の活躍など、
むしろ活性化しているように見えます。


コンピュータが人間の頭脳を超えたとき、
どのように振る舞うべきか。
それは藤井六段にヒントがあると思います。

彼はコンピューター将棋で育った
初めての世代と言われています。
そして、コンピューター的な
手筋を多用しているとのことです。

つまり、解説のプロ棋士が予想できなかった
藤井六段の差し手を、
コンピューターが予想していたというのです。

これは、藤井六段の頭の中が
コンピューター的になっているということです。
そんな彼が勝者となっているのです。

これからはコンピューターの思考を理解し、
コンピューターから学び、協働できる人間が
勝者となっていくと考えています。

コンピューターが道具から仲間へと
進化するのです。


posted by エンジニアライター at 23:31| Comment(0) | 科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月20日

世の中が変わる、技術

シミルボンという読書サイトで
「世の中が変わる、技術」という連載をしていました。

この連載では、なるべく難しい話は抜きにして、
その技術を3つの視点から語ります。
1つ目は「それは何か?」
2つ目は「それは何がすごいのか?」
3つ目は「それは世の中をどう変えるのか?」

生命科学分野など、私自身あまり詳しくない
話も扱ったので、とても勉強になりました。

なるべく本質だけをコンパクトに
書いたつもりですので、
短い時間で本質を知りたい、
という方はぜひ読んでみて下さい。

第1回 ビッグデータは私達の価値を高めてくれる

第2回 Googleも研究する次世代エネルギー源「核融合」

第3回 IoTの本当の意味は、消費者にはわからない

第4回 人間を不老不死に近づける?iPS細胞。

第5回 ネットセキュリティを根本から崩す? 量子コンピュータ

第6回 お客さまに安い宇宙を! 宇宙エレベーター

第7回 ビットコインに100万円の価値はあるのか?(仮想通貨)

第8回 ビットコインじゃなくて、こちらが主役 (ブロックチェーン)

第9回 いまさらながら、クラウドです

第10回 「遺伝子組換え」から「ゲノム編集」へ

第11回 20年前は世間は見向きもしなかった。人工知能(ディープラーニング)。

第12回 人間はテクノロジーに、どう変えられていくのか?



posted by エンジニアライター at 23:24| Comment(0) | 科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月23日

ABC予想が証明されました

京都大学の望月教授による
ABC予想の証明が認可され、
権威のある雑誌に掲載されるそうです。

つまり、証明が正しいことが検証され、
正式にABC予想が証明されたことになります。

ただ、望月教授としては、
ABC予想の証明が真の目的ではないようです。

自身の提唱する、
「宇宙際タイヒミュラー理論」の
可能性を示すということですね。

実際、ABC予想の証明はこの理論の
副産物にすぎないとのことです。

もう証明されてしまいましたが、
あのフェルマーの最終定理は
望月教授の理論でも証明できるそうです。


望月教授のこの論文は、実は
2012年には公開されていました。

それが、今になって雑誌に掲載になった理由は
検証にとても時間がかかっていたからとのこと。

つまり、望月教授の理論が難しすぎて、
一流の数学者チームでさえも、
検証に5年かかってしまった、ということです。


ただ、残念なのは望月教授は
フィールズ賞の受賞はできないことです。

というのも、フィールズ賞は40才以下という
年齢制限があって、望月教授は
それに引っかかってしまうようです。

まあ、ネットで調べてみると、
賞のための証明なんてバカバカしいから、
わざと証明を発表するのを遅らせた
と見る人もいるみたいですね。

天才の考えることはわからないものです。
posted by エンジニアライター at 19:07| Comment(0) | 科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする