僕は近い将来、この「○○一筋」という考え方は
死滅していくのではないかと思っています。
この考えを裏付ける良い一文に出会えたので、
今回はその話をしたいと思います。
これは棋士の羽生善治さんが語った、
「学習の高速道路論」によります。
ITとネットの進化によって将棋の世界に起きた最大の変化は、将棋が強くなるための高速道路が一気に敷かれたということです。でも高速道路を走りぬけた先では大渋滞が起きています。
これは多くの人が納得してくれるでしょう。
例えば、あるスポーツを始めるとします。
そんな時、一流のコーチの解説動画が
ネット上に無料でたくさん転がっているのです。
昔は少ない本を読みながら、
自己流で進めていくしかなかったわけです。
でも、今は「あるレベルまでは」
昔とは比べ物にならないほど、
短時間、少ない労力で達することが
できるわけなのですね。
これは技術、スポーツ、経営、勉強、芸術、
どんな分野にもいえます。
しかし、その「あるレベル」を超えた先には、
大渋滞、つまり非常に厳しい競争が
待っているということなのです。
羽生さんのお話はこれから、
その大渋滞をどうやって乗り越えるか、
という話に移ります。
ただ、これは勝負の世界など、
ごくごく限られた分野の話であって、
僕は大多数の人にとっては、
その思考ではダメだ、と思うのです。
結論からいうと、
高速道路の先が渋滞しているのであれば、
さっさとほかの方向に進んで、
「高速道路を抜けた」レベルのスキルを
どんどん積み上げる方が正解だと思うのです。
残念ながら、一本道では絶対に若い人に
勝つことはできません。
なぜなら、高速道路は確実に延びるからです。
高速道路がなく、下道を迷いながら進んだ道も、
すぐに高速道路が整備されて、
若い人はそこを通ってやってくるのです。
これでは勝ち目はありません。
となると、年長者が若者に勝てる武器
それは一つの道の極め具合ではなく、
どれだけの道を極めたか、
ということに移るはずです。
こんな視点からも「○○一筋」は危険です。
キャリアはできるだけ複線思考で
考えるべきだと思うのです。