「i2=-1」 と教えられる虚数は、
その「虚(ウソ)」という名前もあって、
存在しない数とか妙なイメージを
持っている人が多いようです。
しかし、数字は一種の言語ですから、
数字そのものよりも、数字に何をのせるか
ということが重要なのです。
例えば、5という数字そのままでは
抽象的な概念しかありません。
例えば5人の人なのか、5mの長さか、
5℃という温度か、5gという重さなのか、
表すものによって、意味が変わってくるのです。
意味が変わるという表現は
十分でないかもしれません。
まさに次元が変わるということです。
5℃と5人を加えると何になりますか?
この問題は全く意味を持ちません。
この二つは全く違うもの、
次元が違うものなので、加えようがないのです。
虚数は次元が違うものを一緒にする手段です。
だから「1+i」は一つの数字ではありません。
5人と5℃というように、
次元が違う2つの数字を表現したものなのです。
だから、虚数にも意味を与えてやれば、
意味を持つようになります。
私の専門である半導体回路では、
アンプ(増幅器)というものがあります。
この利得と呼ばれる特性は複素数で表現して、
複素数平面で見たときに、
ベクトルの大きさを増幅率に、
角度を位相に対応させます。
二次方程式の解で複素数が出てくると、
それは解けないことを意味するだけです。
しかし、最初に適切な意味を与えると、
虚数も意味を持つことができるのです。