私は学生時代、美術が嫌いでした。
というのも、中学生のときの
美術の先生が大嫌いで、それ以来苦手意識を
持ってしまっていたのです。
それは本当に残念なことです。
この年になって、もっと若いときに
美術に興味をもって勉強できていれば、
と思うことがあるからです。
その先生は美術に非常に熱心でした。
だから、不器用な私のような人間は
あまり良く感じなかったのでしょう。
ことあるごとに、いやみを言われていた、
そんな思い出があります。
逆に絵の上手い子たちは、
とても気に入られていました。
そんな風に態度が変わるところも
嫌だったのです。
でも、そんなことを考えていて、
数学も同じなのではないかと思ったのです。
私は、数学はできるほうでしたので、
数学の先生には好かれていました。
でも、私の美術と同じように、
できない子には冷たかったのかもしれません。
数学や理科が嫌い、という人の中で
かなりの割合で、中学や高校の先生が嫌いだった
という言葉を聞きます。
自分の専門科目ですから、
そりゃできる生徒は可愛いし、
そうでない生徒、特に真面目に取り組まない生徒には
イライラするものなのでしょう。
むしろ、自分の専門科目に思いいれ入れが無いほうが、
フラットに生徒に向き合えるのかもしれません。
この美術の先生は今まで私の中では、
単に嫌な先生だという思い出だったのですが、
美術に熱心だからが故なのかな、と
考え直すことにしました。
そうすれば「悪い」と思っていた思い出も、
良い解釈ができるようになります。
それにしても、自分の専門に熱心であるから、
人をその分野から遠ざけてしまうというのは
残念なことです。
できる人にはどこまでも才能を伸ばしてあげて、
できない人でも楽しむ素養くらいは身につけられる、
そんな教育が実現できれば良いですね。