2009年06月13日

半導体産業はヤクザな世界

このブログにも半導体業界の不況の深刻さ
を書いてきました。

ただし、この業界の不況が深刻なのは
単にリーマンショックが起きたから、
というレベルの問題でなく
産業特有の構造的原因が根底にあります。

チキンレースという言葉がありますが
まさに半導体産業のためにあるような言葉です。


わかりやすいようにパンに例えてみます。

あるパンがあります。
この原価は、10個作るのに1000円
1000個作るのに10000円、
10000個作るのに20000円かかります。
一体、何個パンを作りますか?

10個作った場合は原価100円。
1000個作った場合は10円。
10000個つくった場合は2円。

当然、たくさん作った方が得です。

だから、どのパン屋もムリして借金して
とにかく沢山パンを作ります。

とはいえ、消費者もそんなに沢山のパンは
必要としていないからどんどん値段は下がります。

しまいには、1個1円になってしまいました。
これでは作れば作るほど赤字です。

でも、沢山作るのを辞めてしまえば、
原価が高くなるので、赤字を出しながらでも
沢山作るしかありません。

そして、パンを作るためのお金がなくなった
順番にどんどんつぶれていく…。

儲かるのは最後に残った1軒だけ。
だから、お金のあるお店は他のお店を
つぶすために、赤字を出しても
とにかく沢山パンを作る。


半導体、特にメモリと呼ばれるものの
産業構造は誇張でなく、こんな感じです。

本当にヤクザな世界です。
posted by エンジニアライター at 05:33| Comment(1) | TrackBack(0) | 半導体 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする